不倫と投稿されて離婚・うつ病・廃業

俺は、大阪でとあるメンズエステを経営していました。
人気店というわけではなかったけど、リピーターはそれなりにいる店だったんです。キャストも良い子が揃い、技術力もあり…。
だけど、ある日ホスラブで根も葉もない噂を立てられてから、店を閉めなければならなくなりました。
その出来事と自分の感情を整理するために、俺はここに当時のことを語りたいと思います。

俺の仕事と、俺の日常。

俺には、よくできた妻とかわいい娘がいました。妻は俺の仕事のことを知っているし、メンズエステがどういう業態の店かも知っています。妻はもともとガールズバーの店長でしたから、水商売の事情には詳しいんです。
そんな理解ある妻が家で迎えてくれる喜びを胸に、俺はメンズエステを切り盛りしていました。
働いているセラピストの皆さんは「働きやすい」「研修が豊富」と、嬉しいことを言ってくれます。
Web担当の従業員も楽しく働いているし、我ながら「いい職場だなあ」と幸せを感じていました。
ただ、そんな日常は突如として終わりを迎えたんです。

ホスラブで根も葉もない噂が…

空気が肌を切り裂くように冷たく、吐く息が紫煙のように天に上る、冬の日のこと。忘れもしません。なんとなく「なんか風景が白い気がするなあ」と思っていました。この日はとても空が近く広く感じて、外でタバコを吸うのがとても美味しかったんです。当時はまだ両切りだったゴールデンバット。
空箱をくしゃっと潰し、そろそろ仕事に戻ろうかなあと思っていた矢先…。
「店長、大変です!」
Web担当の従業員から電話がかかってきました。
急いで事務所に戻ると、彼がパソコンである画面を開いていたんです。
それが、ホストラブ(通称ホスラブ)でした。
文章をよく見たとき、僕は言葉を失いました。唾が喉を通り過ぎる音が周囲に聞こえているのではないかというくらい、事務所が静まり返ったんです。それくらい、僕はハッとしました。
「ここの店長、セラピスト食いまくってるってよ」
「ファッ? 俺は○○ちゃんと不倫したって聞いたぞ」
根も葉もない噂でした。
セラピストと性的関係になったことはありません。セラピストと不倫したこともないんです。
そして、胸が切り裂かれるような感覚を抱くとともに、俺はこう思いました。
「この噂を流した人は、店の関係者なのではないか?」
不倫したという噂を流されていたセラピストは、指名ランキングNO1の子でした。
もしかしたら、指名が取れないセラピストか、自身の客を取られたセラピストが彼女を困らせるために噂を流したのではないか…。
もちろん、それだと俺がセラピストを食いまくっているという噂の説明が付きません。全てがセラピストによる書き込みだとは思いませんでした。
それでも、疑いの心は日に日に大きくなっていくものです。
俺は、セラピストも従業員も誰も信じられなくなりました。

仕事のピンチ、日常の窮地。

俺は、ホスラブ運営に対して速やかに削除依頼をしました。
プライバシーに関することだからと、ホスラブも削除対応をしてくれたんです。これで少しは噂も小さくなるだろうと、安心しました。
しかし、もう既に噂は客の間で完全に広がっており、削除しても削除しても次々に同様の内容が投稿されていったんです。むしろ、削除されることによって投稿する人たちは面白がったのかもしれません。
「どうすればいいんだ…!」
相談したい。泣きたい。すがりたい。なんでもいい、なんでもいいから…。
だけど、駄目です。従業員もセラピストも信用できません。不倫疑惑のことを妻に相談できるはずはない…。
何を見ても楽しくありません。お笑いを見ても笑えません。空を見ても色を感じません。どんなに美味しいものを食べても、味の消えたガムのようです。
そして、ある日、不倫疑惑の的となったNO1のセラピストが店を辞めました。
しかも、それとほぼ同時期に妻にまで噂が知れ渡ったんです。俺は必死に弁解しました。根も葉もない噂だと。非常に困っているんだと。
だけど、妻は信じてくれませんでした。
それから程なくして、家に帰ると、誰もいませんでした。電気のついていない部屋。少し前にしたクリスマス飾りが無残な姿になって床に散らばっている部屋。寒い部屋。
その中心の食卓に、離婚届と判子だけが置かれていました。
俺は、サインするしかなかったんです…。

何をやっても「もうダメ」だった

それからは何をやってもダメでした。
キャスト募集をしても応募はあまり来ないし、客足も遠のいて、既にいたキャストもどんどん辞めていく…。
もうダメだ…。
そう自覚した途端、身体は鉛のように重くなり、意識は床に落ちた雪玉のように砕け散り、溶け落ちてしまう感覚がしました。
後に医師の診断を受けて知ったんですが、うつ病だったみたいです。
俺は働けなくなり、店を閉じました。
弁護士にお願いして訴訟を進める余裕は既にありません。脳裏にその考えが浮かんだことはあったけど、それで妻や子供が戻ってくるわけではないじゃないですか。それで店が元通りになることはないわけですよ。
だから、結局何もしませんでした。
療養にだけ専念し、今ではこうして当時の話をすることができるくらいには回復しました。
これが、俺のホスラブでの中傷体験とその顛末です。